永く使うという事:その3、設計編

Pep cyclesのコンセプトは”永く乗る=永く使う”という事、永く使い続ける為に何が必要なのか?素材、スペック、設計というポイントでご紹介します。その3は設計について!

■設計

設計というと自転車のフレームの”ジオメトリー”つまりフレームを構成するそれぞれのパイプの長さや角度がどのような組み合わせになっているかを指すことが多いのですが、ここでは別の視点から話をしようと思います。ジオメトリーの詳細についてはこちらを確認して下さい。

永く使うために必要な事はなにか、まずは丈夫な事、そして色々なカスタマイズに対応できることだと考えました。

丈夫さだけを考え自転車を作ると、硬く、重くなってしまいます。それでは乗り心地が良くありません。丈夫なまま軽く作ろうとすると肉厚の薄いパイプを使う必要がありますが、そういったパイプを使うと値段が高くなってしまいます。

また、カスタマイズの幅を広げようとするとフレームに多くのネジ穴(ダボ穴)を作る事になりゴチャゴチャした見た目になってしまいます。

永く使える十分な強度を持ちながら、色々なカスタマイズに対応した比較的安価でシンプル見た目のスポーツ用自転車、そんな自転車を作りたいと考えました。

■クロモリパイプ

パイプの強度は断面積と外径の組み合わせで決まります。断面積が同じ2種類のパイプがあったとき、肉厚が厚く外径が小さいパイプ(左図)と肉厚が薄く外径が大きいパイプ(右図)は断面積が同じなので使っている材料の量も同じで重量も同じです。この二つのパイプの強度を調べると、肉厚が薄く外径の大きいパイプ(右図)の方が捻れに強く強度が高く硬い乗り味になります。

そして、パイプを薄く作るには技術がいるので同じ量の材料を使っていても値段は肉厚が薄く外径の大きいパイプ(右図)の方が高くなってしまいます。

硬いフレームでは振動が直接身体に伝わるので結果として疲れやすくなってしまいます。Pep cyclesのフレームにはスポーツ自転車用のクロモリパイプとしてはありふれた比較的安価な物を使用し、十分な強度と気持ちの良いしなりが出せるように、あえて外径の細いパイプを採用しています。フレーム重量は約2.5kg(520mm)と軽量ではありませんが、重すぎない程度に抑える事もできました。

■オリジナルエンド

Pep cyclesを設計する際に最初に取りかかったのはエンドのデザインです。このユニークなエンドは強度的に十分な6mm厚のクロモリの板からレーザーカットで切り出されています。そうする事で比較的安価で精度の高いものを作る事が出来ます。

また、エンド幅135mmのディスクブレーキ用のハブという条件をクリアすれば内装ハブ、固定ギア、シングルスピード、多段変速などの使用が可能です。そしてディスクブレーキを採用する事で、天候に左右されずに確実なブレーキングが可能になる他、700c、650b双方のタイヤ規格に対応させる事もできました。もちろん外装変速機を取り付けるディレーラーハンガーも付いています。

同様の機能が備わっているエンドは他にもありますが、大抵はいくつかのパーツを組み合わせてエンドとして成立させています。決して悪い物ではありませんが、構成パーツの点数が増えるという事はメンテナンスの頻度や壊れるリスクと直結すると考えています。

キャリアや泥よけなどを取り付ける際に必要なネジ穴(ダボ穴)も1枚のエンドの中に納めてあるため余計な出っ張りのないスッキリとした形状になっています。

Pep cyclesは特別軽量なフレームではありませんが、十分な強度を持ちクロモリらしいしなりのあるフレームになっています。なにより乗って楽しい、色々な使い方ができるという事が特徴になっています。

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